クロライドシフト

二酸化炭素(CO2)は、通常の代謝の副産物として組織で生成されます。 血漿や赤血球に溶け込み、炭酸脱水酵素によって炭酸(H2CO3)へと水和される。 炭酸はその後、自発的に解離して重炭酸イオン(HCO3-)と水素イオン(H+)を形成する。

細胞膜は一般に荷電イオン(すなわちH+、HCO3-)に対して不透過性ですが、赤血球は陰イオン交換体タンパク質バンド3を用いて重炭酸を塩化物に交換することが可能です。 従って、細胞内の重炭酸の上昇は、重炭酸の輸出と塩化物の摂取につながる。 この交換のことを “クロライドシフト “という。 その結果、全身静脈血中の塩化物濃度は全身動脈血中よりも低くなる。静脈のpCO2が高いと赤血球で重炭酸塩が生成され、入ってくる塩化物と交換に赤血球から出て行く。

肺の毛細管では、PO2が上昇しPCO2が低下すると逆の過程が起こり、Haldane効果(酸素化中のヘモグロビンからのCO2の放出)が発生する。 これによりヘモグロビンから水素イオンが放出され、赤血球内の遊離H+濃度が上昇し、平衡が重炭酸からCO2と水の生成へと移行する。 その後、細胞内の重炭酸塩濃度が減少すると、塩化物-重炭酸塩交換が逆転し、塩化物が細胞外へ移動する代わりに重炭酸塩が細胞内へ移動する。 バンド3交換体を介した重炭酸塩の内方への移動により、炭酸脱水酵素がそれをCO2に変換して排出する。

塩化物シフトは、アロステリックエフェクターとして働く塩化物イオンによってヘモグロビンの酸素に対する親和性も調節していると思われる。

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