日本の地方病院におけるアルコール系手指消毒剤、抗生物質消費量、その他の対策が抗生物質耐性菌検出率に与える影響

中小病院における多剤耐性菌と感染制御活動の関係についてはデータが乏しくなっています。 そこで,2014年4月から2015年3月にかけて,日本の11病院でアルコール系手指消毒剤(ABHS),個人防護具,抗生物質の使用状況,検出可能な菌のレベルに関するデータを収集した。 抗生物質の平均総使用量は1000患者日(PD)あたり100定義日量、ABHS、マスク、プラスチックエプロン、手袋の平均使用量は1000PDあたり5L、1PDあたりそれぞれ1、2、26個であった。 黄色ブドウ球菌(MRSA),広域βラクタマーゼ(ESBL)産生菌,多剤耐性緑膿菌(MDRP)の平均分離数は,それぞれ107(全検体数の8%),51(4%),4(0.3%)であった. ABHSおよびtazobactam/piperacillinの使用量に関する多変量解析では,MRSA分離率との有意な負の相関が認められた(調整後R2=0.87)。 これらの結果から,中小病院では抗生物質の消費量よりも手指衛生の方が重要であることが示唆された.

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