79歳女性,外陰部のかゆみで受診した. 過去には2年前に乳癌の既往があった。 乳癌の病期はpT1pN0M0であり,手術とタモキシフェン20mg/日の補助療法で治療した。
臨床検査では,ピンク色の外陰部に右側に灰白色の領域が見られた(図1)。 この部位を生検したところ,扁平苔癬が認められた。 強い痒みがあったため,灰白色部分を切除した。 定期的な経過観察が行われた。 12ヶ月後、痒みが再発したため再来院した。 痒みは6ヶ月前に始まった。 当初は気にならなかったが,しばらくしてクリトリスに灰白色の部分が生じていることを指摘した。 1
臨床検査では陰核に直径3cmの外生カリフラワー様の塊が認められました。 腫瘤は両部位とも小陰唇に及んでいた。 尿道口はマクロ的に5mmのマージンがあり自由であった。 鼡径リンパ節は触知されなかった。 膣や子宮頸部への浸潤はみられなかった。 臨床的には、腫瘤は外陰癌や疣贅のような外観をしていた(図2)。 腫瘍の位置と肉眼的特徴から,まず生検を行わず,1cmのマージンをとって摘出することが選択された。 2
病理検査では内生病変で過・傍角化(青矢印)、軽度異型性のみ(図3、4)、内生病変は外植性である(図4)。 病変は球根状の末端を押し広げる形で真皮深部に浸潤している(黄矢印)(図3,4)。 腫瘍自体は高分化型腫瘍で,異型度は軽度である(図5)。 好中球による腫瘍巣の浸潤が特徴的である(黒矢印)(Fig.5)。 隣接する上皮は扁平苔癬の特徴を示し,傍角化を伴わない過角化(青矢印),過角化(黄矢印),上皮基底層へのリンパ球の侵入を伴う真皮下の帯状の炎症浸潤(黒矢印),基底角化細胞やアポトーシス細胞(緑矢印)の空胞化が認められる(図6)。 HPV DNAアッセイにより,本腫瘍はHPV陰性であることが判明した。 確定病理診断では2×3cmの高分化型疣贅癌で,腫瘍縁は無傷であった。 尿道へのマージンは7mmで,その他のマージンはすべて1cm以上であった。 最大浸潤深度は5mmであった。