Aim: 潰瘍性大腸炎(UC)は粘膜炎症が直腸から連続して近位へ広がる疾患と考えられている。 しかし,虫垂口炎症(AOI)は直腸から連続的に浸潤するセグメントを持つスキップ病変である。 本研究の目的は、AOIを有する患者におけるUCの臨床的特徴および臨床経過、特に近位伸展に焦点をあてて検討することであった。
方法 2004年から2014年に東京大学外科腫瘍学教室で全大腸内視鏡検査を受けたUC患者を対象にレトロスペクティブに評価した。 AOIの程度は内視鏡的に以下のように評定した。 0(炎症なし)、1(軽度の浮腫)、2(中等度の炎症)、3(顕著な炎症)。 合計189名の患者記録をレトロスペクティブにレビューした。 AOIの存在は、各患者の臨床情報と関連して分析され、直腸炎または左側大腸炎の近位伸展との関連が評価された。
結果 当院で全大腸内視鏡検査を受けたUC患者189例中、膵炎92例、左側大腸炎50例、直腸炎47例と診断された。 内視鏡的にAOIを認めたのは26例で,内訳は膵炎11例(12.0%),左側結腸炎6例(12.0%),直腸炎9例(19.1%)であった。 追跡調査中、直腸炎AOIの9例すべてで病変の近位伸展が起こった。
結論 AOIは直腸炎患者においてより高頻度に観察される。 直腸炎患者において,AOIとその後の粘膜炎症の近位伸展に相関がみられた。