足底筋膜炎の原因として、踵骨棘は現在議論されているところである。 踵骨棘と足底筋膜炎の関係を調査した結果によって踵骨棘を分類する前向き研究が行われた. 踵骨棘と足底踵部痛を有する患者 30 例に踵骨棘除去術と内視鏡的足底筋膜切開術を施行した. 踵骨棘と足底筋膜炎の分類の関係を,内視鏡所見,臨床症状,X 線画像,生検所見により評価した. 術前と術後にはそれぞれ,痛みについてはVisual analog scale,機能評価についてはAmerican Orthopedic Foot and Ankle Society ankle-hindfoot scoreが用いられた. 平均フォローアップ期間は24ヶ月であった。 踵骨棘は2つのタイプに分類された。 A型踵骨棘は足底筋膜の上方に位置し,B型踵骨棘は足底筋膜の内側に位置していた. 磁気共鳴画像の結果,術前のB型踵骨棘はより重度の足底筋膜炎グレードであった. 組織学的検査では,B型踵骨棘の1画像あたりの顆粒球数はA型踵骨棘と比較して有意に増加していた. 視覚的アナログスケール,米国整形外科足関節学会スコア,MRIの平均値は,両群とも統計的に有意な改善が認められた. Visual analog scale scoreとAmerican Orthopedic Foot and Ankle Society scoreの変化量,画像あたりの顆粒球数,踵骨棘の長さは踵骨棘の分類と高い関連性を示した. 踵骨棘は完全に除去され,追跡期間中のX線評価において,どの患者においても再発は見られなかった. 踵骨棘は足底筋膜炎の重症度を示す2つのタイプに分類することができる.