体内の組織で酸素が減少すると低酸素症になる。 低酸素血症とは、肺でのガス交換が損なわれているか、CaO2が十分であるか、組織低酸素が存在するかにかかわらず、PO2が正常範囲より低下することをいう。 低酸素血症の生理学的メカニズムはいくつか考えられるが、COPD患者においては、PaCO2によって示される肺胞低換気を伴うか伴わないV/Q不一致が支配的である。 COPDにみられるV/Q不一致による低酸素血症は比較的容易に改善されるため、比較的少量の酸素補給(大多数の患者では3L/min未満)で在宅酸素療法が可能である。 低酸素血症は通常換気を促し、呼吸困難を引き起こすが、これらの現象および低酸素の他の症状や徴候はCOPD患者では十分に変化し、患者評価における価値は限られたものである。 慢性的な肺胞低酸素は、COPD患者において肺冠(明らかな右室不全を伴う、あるいは伴わない右室肥大)を発症させる主な要因である。 肺高血圧は,安静時平均肺動脈圧の上昇の程度に比例して,COPD 患者の生存に悪影響を及ぼす. FEV1 によって測定される気流閉塞の重症度は COPD 患者の全体的な予後と最もよく相関するが、慢性低酸素血症はどの重症度においても死亡率と罹患率を増加させる。 COPD患者におけるLTOTの大規模な研究により、1日の酸素使用時間と生存率との間に用量反応関係があることが示されている。 適切に選択された患者における1日24時間の連続的な酸素使用は、NOTTおよびMRCの研究で示されたよりもさらに大きな生存利益をもたらすと信じるに足る根拠がある。